のまネズミはコシヒカリが好き? - ポエツ | poets

Logs

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
中華圏は農暦(旧暦)が用いられている関係で、新年を迎えたという実感がどうしても薄いです。NHK「紅白歌合戦」はアジア全域で視聴できるようですが、日本にいても観たことはありません。
それでも今年の紅白でぜひとも唄って欲しかったと、私が思っているのが以前の記事でふれた『老鼠愛大米』です。これほど「紅白歌合戦」にふさわしい歌もないように思います。

『老鼠愛大米』は、2004年から昨年にかけて、中華圏を中心にアジア全域で親しまれることとなったラブソングで、この短い間にかなりのカバー版が発表されています。
日本での『老鼠愛大米』の受容度は情報に疎くわかりかねますが、『絵文録ことのは』の記事「ことのは2005ベストソング10」で知るところによれば、日本でも伊丹谷良介というアーティストによってカバーはされているようです(NHK『みんなのうた』でも美山加恋によるカバーがあるらしい)。

これ以外の情報が見つからなかったので、日本でどれくらいヒットしたのか、知名度があるのか、私にはわからないので半分推測になります(ありえないと思いますが「マイアヒー」を超える大ヒットになってたらごめんなさい)。
なぜ日本の芸能関係のプロモーターが、『老鼠愛大米』という最高の素材に着目しなかったのか、国内でもっと強いプロモーションを行わなかったのかと惜しまれるのです。

「韓流」に続く「台風」「華流」というブームを仕掛けているという話はきいたことがありますが、『老鼠愛大米』は単なる一過性の流行を超えて、新たなスタンダードナンバー、古典となる可能性を持った歌だと思います。
いささか的外れの表現かも知れませんが、『老鼠愛大米』は「21世紀の『夜來香』」として、「日本人でも知っている中華歌謡」になれる歌でしょう。

『老鼠愛大米』を、なぜ日本は受容しなかったのか。
…という単純な題目は、あまり適切ではありません。ここ二、三年のいささか牽強付会ともいえる「韓流」をのぞけば、もともと日本にはアジア圏の映画・音楽の流入量は決して多くはなかったのです。

私にしても語学研修で台北に滞在しているから、そういった情報に触れる機会が多いだけのことです。しかしながら、ここ十年で台湾・香港の映画・音楽の質やレベルは、もはやマイナーな位置づけにできないものになっている気がします。
好き嫌いはともかくとして、日本では中華圏の映画・音楽を知る機会が少ないと言うのは、「もったいないなあ」と思うのです。
それでも難しいのは、この状況が、日本の市場や日本人が「閉鎖的」だから発生しているのではないからです。

【日本は閉鎖的なのではない】
現在、世界中で流通している膨大な情報の中で、最も多いのは英語のものに間違いないでしょう。そしてその次が日本語のはずです。
たとえば研究論文や最先端技術の情報の多くは、まずスタンダード言語である英文で発信されます。それらが日本語に翻訳されている割合は高いそうです。それは「日本語訳」の需要が相当数あることを意味しています。
まず先進国の中でも、日本の人口は非常に多いこと(フランスの約2倍です)。その人口の中で、最先端技術や情報を享受するだけの知的水準・文化水準にある層が厚いこと。あるいは経済的に言えば、たとえば文学(小説)などの翻訳を出版・販売するだけの市場がある、というのもほぼ同義です。

日本人は、英語を含めた外国語の能力が一般的に低いと言われますが、逆にそれだけ外国語を必要としていない側面もあります。
世界の多くの地域では、最新のニュースも、小説も、インターネットサイトも母国語の翻訳がないので、英語がわからなければ読めないという状況もあるのです。
(私は経済について詳しくないので、専門的な意味でないにしても)それだけ人口と市場規模は大きなキーであるといえます。

日本の場合、国内だけで完結したような状況を作りやすいのではないでしょうか。完結と言うと語弊がありますが、たとえばデジタル機器ならキヤノンやソニーの(一応)国産メーカーがあるし、娯楽・芸能関係ではハリウッド映画を除けば、音楽もTVもほとんど国産のもので間に合います。わざわざ外国から仕入れてくる必要性は薄いのです。
逆に、TV番組などの「自国生産力」が不足していたアジア諸国に、韓国が戦略的にTVドラマを輸出したのが「韓流」でした。日本の「韓流」は他のアジア諸国に数年遅れて発生していますが、これも反応が鈍かったと言うよりも、国外から娯楽を仕入れる必要がなかったからでしょう。

日本は決して閉鎖的なのではなくて、国内にあるものだけで文化、情報、物質などがすでに飽和してしまっているのです。

【赤い海にネズミは棲まない】
それに較べると、台湾の市場規模はずっと小さいです。しかし東アジア地区においては、日本に次ぐ経済的発展をした先進国でもあり、アジア諸国から人間を含め様々なものが流入してきています。しかし「飽和状態」には到っていません。

適切な例ではないでしょうが芸能音楽関係を例にします。
たとえば女の子のアイドル・グループ、といえばまず「S.H.E」です。競合する存在はいないと言っていいでしょう。
ポップなロックバンドといえば「五月天」で、二番手は思いつきません。「バンド」という音楽スタイルでいえば「信樂團」がありますが、音楽性はまったく違います。
かつての「Every Little Thing」や「Do As Infinity」を思わせる、〈女性ボーカル+男性2名〉スタイルで昨年人気の出た「F.I.R」ですが、やはり似たようなスタイルで被るような存在はいません。

日本ならば「モー娘。」にしても、かならず追随・模倣による競合が現れそうなものですが、台湾・香港芸能はほとんど「棲み分け」的状態だし、芸能人の絶対数自体が少ない面もあります。
そう言った意味では、日本の芸能音楽分野は「レッド・オーシャン化」していると言えるでしょう。

台湾・香港で活動している芸能人には、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、カナダなど、諸外国出身の華人が意外と多いのです。
彼らは両親が中国人なので、中国語の習得は比較的容易なようです。また台湾出身の芸能人にしても同様ですが、彼らが近年プロモーションのターゲットにしているのは大陸(中国、内地)で、理由は同様に「言語のカベ」が低いからと考えられます。
もちろん中国が、ここ十年で急速に資本主義市場として発展したこともあるでしょう。

彼らが日本にプロモーションをする意味はほとんどないと言えます。
まず日本で活動するためには日本語を覚えなければならないし、そうして参入したところで、すでにそこは過当競争の赤い海なのです。
つまり、向こうの側から日本の市場に強くアプローチして来ることは期待できません。
これでは日本にいて、中華圏の音楽をはじめとするポップカルチャーに触れられる機会は少ないままです。

ならばこそ、日本の側からそれらを買い付けに行けばいいと思うのです。
台湾・香港の映画・音楽が相当のレベルに達していると言うのもありますが、それだけではありません。

【のまネズミはコシヒカリが好き?】
冒頭に立ち返って、『老鼠愛大米』に限って言えば、今世紀の中国歌謡の「スタンダード・ナンバー」と言える1曲が誕生しつつあることを、多くの日本人が知ることができないというのは惜しいと思うのです。
もちろん『老鼠愛大米』も、5年かそこらで忘れられてしまうただの流行歌になるかもしれません。だとしても、日本人のアーティストがしっかりカバーをした『老鼠愛大米』を、アジア全域でプロモーションすることも可能でしょう。日本語のカバー版でもかなり売れるはずです。
「のまネコ」の件で争っているくらいなら、「のまネズミ」人形を作ってアジア中で売った方がよかったかも知れません。

『老鼠愛大米』のサビには、ピンイン表記するところの「xu」、「qu」と言った、日本語で表現しにくい音がありません。
「ウォ、シァン、二ィ、アイジャ、二ィ、ジョウシァン、ラオシュ、アイダーミィ」
こんな風にカタカナで表記しただけでも、判別不能なほど不正確な音にはなっていないと思います。
そして中華圏の人と話す機会があれば、
「私、ひとつだけ中国語の歌を知ってますよ。『ウォ、シァン、二ィ…♪』」
なんて、コミュニケーションの端緒に、ひょっとしたらなるかもしれません。(S.H.Eや五月天の歌でもいいですが、台湾人でも知っている、知らないの差が出てくるでしょう)。

ネズミは米が好き(老鼠愛大米)なようです。
日本には世界に誇る「コシヒカリ」があります。(なぜ米の輸出に力を入れないのか、と言う疑問もあるのですが、それはともかく)
きっと日本の米も、ネズミのお口に合うんじゃないかと思うのです。

[related]*老鼠愛大米 *論評

comment


  管理者にだけ表示を許可する

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

きのうはアジアで模倣ー!

trackback

用FC2,寫部落格日誌也都簡單阿!

検索語抽出

ポップアップ・コメント

poets designed

Ajax検索
AD

台湾留学 完全サポート

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。