さよなら、中正空港 - ポエツ | poets

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昨年(2006年)の秋口、台北の中正空港(中正國際機場)の名称が桃園空港に改正されました。私の帰国がせまったひと月前のことです。そのころ、もうすぐ帰国しますという話を人にするたびに、決まって言ってたことがありました。
「でも、もしかしたら帰れないかも知れませんね。だって、タクシーに乗るでしょう。”運転手さん、中正機場までお願いします”
 だけどいくら走っても空港には着かないの。”お客さん、桃園機場ならあるみたいだけど、中正機場ってのは見つからないよ”」

「桃園(tao yuan)」というのは地名です。桃園にあるから桃園空港。一方、「中正」というのは台湾の総統・蒋介石の号です。なので、この空港の英文表記は「Chiang Kai-Shek International Airport」でした。「JFK空港」とか「シャルル・ド・ゴール空港」みたいなものです。
なぜ人名から地名に変わったかといえば、まず権力者の個人名を冠するというのは、前時代的な慣習ではないかということ。そこには台湾の歴史的な経緯があります。台湾本省人にとって蒋介石の国民党(國民黨)は外来政権だったわけです。つまり空港から「中正」の名前を外すことは、レニングラードをサンクトペテルブルクに変えるようなものでしょう。

それで、こちらの「戦闘機”經國”の後継機の名称が”雄鷹”に決まった」という記事(参照)。
「經國」というのは、蒋介石の息子で、同じく台湾の総統であった蒋経国に由来しています。蒋経国については強権支配をしたので、かなり評判は悪いのですが、政治家・統治者としての手腕は歴史的に評価すべき点は多く、こんにちの台湾の民主化や経済発展の端緒は彼によるものとも言えます。そして時代は、次期戦闘機に人名ではなく、中立的な名前がつけられるようになりました。

この数年続いているこういった傾向は「正名(名を正す)運動」と呼ばれています。こういった運動は一部の急進的な台湾独立派によって行われているようです。
「中國文化大學」という学校があるのですが、二、三年前には「台湾にあるのに”中國”と名がついているのはおかしい」と批判を浴びました。この種の運動というのはヒステリックに暴走しがちなもので、日本で言えば「言葉狩り」や、古くは「排仏毀釈」と同様といえるかもしれません。
その行き過ぎを揶揄したのが、このネットユーザーたちのユーモア。「だったら”中秋節”もこれからは”台秋節”にすればどうだ」(参照
先日この話題を台湾人としたら「台中はどうすんの?」と聞かれたので、「台台」と答えて大笑いされました。

正名運動というのは、台湾は「台湾」であって「中國」ではないという原理主義です。もちろん「中秋」や「中古車」の「中」の文字は「”中”國」のそれではないわけです。「民進党’中’央部も民進党’台’央部に変えたらどうだ?」と皮肉られているのは、正名運動を推進しているのが民進党だから。民進党(民主進歩党)というのは台湾民主化後の地生えの政党で、外来の国民党とは対抗軸にあります。
それで現在「國語(公用語)」と指定されている北京官話も、もとは支配者:国民党が強制したものなので、台湾語や原住民族の言葉もすべて「國語」に制定しよう、という運動をしています。(参照
私も「バベルと国語」なんてエントリを書いたんですが、やっぱり新聞記事も「バベルの塔(巴別塔)」の神話にひっかけて書かれていました。

その記事で、私は外国人の立場としては「中文」って呼び方がいいのでは、と書きました。でもこれは正に「中國の”中”」です。「漢語」というのも「漢民族の言葉」という意味も持ってしまうので、こちらも政治的な差し障りが出てきそうです。それじゃ、いわゆる「中国語」をなんて呼べばいいのか。新聞記事には「華語」が最も適切な呼称じゃないか、という意見があって(参照)、ああなるほど、と深く感心してしまいました。

新聞記事を訳していると、個々の記事も背景でこんなふうに繋がっているのに気づきます。記事の概要を訳すだけじゃなくて、こう言った繋がりもどこかで補足してみたいなあ、などと思っている次第です。

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